【完】弁当バトル―あなたのために走ります―



 岬は机の上に座って、私はそんな彼を見上げる体勢になる。
 あっという間に人はいなくなっていて、教室には2人きり。



 少しだけ照れくさい。こんなふうに、2人きりで話すことなんてなかったから。



 昨日みたいな夕焼けはまだ遠い。でも雲の隙間から射し込む太陽の光が岬を照らすから、遠い存在に見えてしまう。



 私はやっぱり、優しい夕日に照らされた岬がいい。とても近いところにいるような気がするから。



 手を繋いだ、あの時みたいに優しい岬がいる気がするから。


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