【完】弁当バトル―あなたのために走ります―
また照れている。頭をかきながら、唇を尖らせて喋る。
「1年の時だよ。早川、幕の内弁当買えたのにさ。なにも考えないで突っ込んできた俺に遠慮して、場所譲ってくれた」
「そう……だっけ?」
「あの時、悲しそうな表情しながら大丈夫だっていってくれてさ。すごく、謝りたくて」
覚えていない。2年以上前のことだし、1年の時はそこまでお弁当にこだわっていなかったから。
まさか、岬にそんな言葉をかけていたなんて信じられない。