【完】弁当バトル―あなたのために走ります―



 自分の力で勝ち取りたいって思っていたのは確かだ。



「受け取ってくれるよう、努力したんだぞ」


「どんな?」


「あーん」



 岬が奪った唐揚げを私の口元に持ってくる。



「よ、余計に受け取らないから!」


「なんだよ、せっかく俺が……」


「うるさい!」



 こんな話をしているうちに、夕焼けに染まっていた世界が紫色に変わり、じきに暗くなることを知らせていた。


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