【完】弁当バトル―あなたのために走ります―
「岬。お弁当、いつも買うから羨ましくて」
「もっと見てほしくて。本当は弁当なんかじゃなく、俺を見てほしかったから……だから……」
「急にどうしたの?」
岬らしくない喋り方。
私の腕を掴む手にも力が入って、だけど震えていた。寒いのかと思ったけれど、違うみたい。
「ずっと、ずっとさ。俺……っ」
岬がなにをいおうとしているのか、わからないほど私は鈍感じゃない。