【完】弁当バトル―あなたのために走ります―



 でも、私はまだ岬をよく知らない。ずっと岬を知ろうとしてこなかった。
 惹かれていないといえば、嘘になる。でも、私は……。



「俺、早川のことが――」


「待って!!」



 止めるしかなかった。
 こんな嬉しいことはないのに、私は岬の言葉を止めてしまった。



「早川……」


「お願い。今は……いわないで」


「どうして? 俺のこと、嫌いか?」


「違う、違うよ。好きか嫌いかってきかれたら、好きだよ」


「じゃあ……っ」


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