【完】弁当バトル―あなたのために走ります―



 失礼なことはしたくない。



 岬が真っ直ぐに感情をぶつけてくるなら、私も同じくらいのものをぶつけないと失礼だと思うから。



「私はずっと岬を見ていなかったんだよ。勝手にライバル視して、勝手に弟子入りして、お弁当のことしか考えてなかったんだよ」


「でもさ、早川」


「断るとか、そういうのじゃない。だから、待って。私がもっと岬を見つめて、岬を知って、岬を好きになりたいから……私にはまだ足りない。岬が幕の内弁当なら、私は唐揚げなんだよ。岬の想いに応えられるほどのものが、まだ出来てないの」


< 73 / 80 >

この作品をシェア

pagetop