【完】弁当バトル―あなたのために走ります―
失礼なことはしたくない。
岬が真っ直ぐに感情をぶつけてくるなら、私も同じくらいのものをぶつけないと失礼だと思うから。
「私はずっと岬を見ていなかったんだよ。勝手にライバル視して、勝手に弟子入りして、お弁当のことしか考えてなかったんだよ」
「でもさ、早川」
「断るとか、そういうのじゃない。だから、待って。私がもっと岬を見つめて、岬を知って、岬を好きになりたいから……私にはまだ足りない。岬が幕の内弁当なら、私は唐揚げなんだよ。岬の想いに応えられるほどのものが、まだ出来てないの」