【完】弁当バトル―あなたのために走ります―



 私から離れた陸斗が、クスッと笑う。



「キスってさ、甘いものと思ってた」


「うん、唐揚げだね」


「ま、俺たちらしいか」



 私は今、恋をしている。



 欲しかったものは手に入らなかったけれど、そのおかげで人を好きになる感情を知った。



「改めて。葵、付き合ってくれますか?」


「よろしく、お願いします」



 始まったばかりの恋だけれど、このまま温めていきたい。



 幕の内弁当みたいに誰かを幸せに出来る、
 鮮やかで色とりどりな世界が、未来が、私たちを包んでくれますように――。



   ―END―


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