肉食御曹司に迫られて

ついつい、美味しそうな料理を前に車で来たことが、頭から抜けていた。
奈々は、声を出してしまい、ふと周りを見渡す。

カウンターにいた男の人と目が合ってしまった・・・。
男性二人組のようだ。

その、手前の彼は、奈々を少しほほ笑んで見ていた。
少し波打った黒髪から除く深い黒い瞳と、整った顔に気づき、目をそらさなきゃとは思うが、
その瞳に吸い寄せられるように、見つめていた。

「おまたせしました。」
柔らかな声で、我に返り慌てて目をそらし、
料理とビールを貰うと、いそいそと外に出た。


（－　綺麗な男の人だったな・・・。）
そんなことを思いながら、
小走りに道路の反対側へと渡る。
波の音がすぐそこで聞こえる。