肉食御曹司に迫られて
「君、本当の彼女の事を知っているか?」
後ろから、先ほどとは違った、少し冷たい、今までとは違った感情が滲み出た言葉が投げられた。

湊は、藤堂が知っているのは、どっち奈々で、「本当の彼女」とは何を指すのかわからなかった。
しかし、ここで挑発に乗るのは、得策ではないと、判断した。
今は、社長でもなく、藤堂の目に映るのは、奈々をそそのかしている男ぐらいに映っていることだろう。


「…失礼します。」
と微笑むと、奈々の部屋に向かった。

(- あの男…やっぱり奈々に特別な感情を持っているな。)
湊は思った。
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