肉食御曹司に迫られて

少し前、奈々は、いきなりの藤堂の訪問に動揺していた。

ピンポーン、とインターフォンがなり、
ドキっとして、画面を覗いた。
「…！！藤堂さん！」
「差し入れだけ置いたら帰る。上司だしな。」

その言葉に、あくまで、ビジネスモードを崩さず、開錠した。
（－　湊がもうすぐやって来る。）
内心、とても穏やかでは入られなかったが、昨日も迷惑を掛けているのに、会わずに、門前払いなどできない。

玄関のインターフォンが押された。
奈々は、一息つくと、ドアを開けた。
「大丈夫か？」
と、藤堂の姿があった。
「わざわざ、すみません。もう大丈夫です。」
奈々はあくまで、冷静に少し微笑み答えた。
「何もないと困るかと思ったから。」
と、藤堂は袋を奈々に渡した。
奈々は、飲み物などが入った袋を見ると、飲み物や食べ物などが入っていた。
「本当に、昨日からご迷惑をお掛けし、申し訳ありません。」
奈々は、頭を下げた。
「謝るな。もう少し甘えること覚えろ。」
という、藤堂の声と同時に、
オートロックのインターフォンが鳴った。
「…すみません。友人が心配して来てくれることになってて。少し失礼します。」
奈々は、慌てて開錠した。

藤堂は、その様子を見て、
「俺、行くな。お大事に」
と、帰っていた。