肉食御曹司に迫られて

TOKYO 都内BAR

ようやく仕事がひと段落した金曜日の深夜、湊と晃は会社から少し離れた都内のBARにいた。
「珍しいな。少し離れた店に行きたいとか。」
湊は、グラスを見ながら、
「知り合いに会う可能性の低い所がよくて。」
「仕事絡みは、ほぼ、私服なら気づかないだろう。」
湊は苦笑して、
「まあ、そうなんだけど。」
と濁した。

「こないだ、言ってた女の子のことか?」
湊は頷いた。

「まあ、本気なら…大変だな。フリーターだっけ?」
「わからない。」
晃は怪訝そうな顔をして、
「わからないってなんだ?いつもみたいに、お前の肩書きと、顔に寄ってきた女とは違うんだろう?」

「違う。だからわからない。」
晃はよくわからないといった表情をして、湊の話を待った。
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