肉食御曹司に迫られて
樋口グループ
社長秘書 入江 大輔
そこには、そうあった。
「樋口グループ?」
奈々は声を出した。
「湊様のお父様の会社です。そういえばご理解頂けますか?」
カマを掛けるようにその男性は言った。
「何のことかわかりません。」
奈々は、向こうの出方を待った。
「そうですか。単刀直入に、湊様とは会わないで頂きたいと、社長よりのご伝言です。」
「いや…と言ったら?」
奈々は、真っすぐ目を見て言った。
「それ以上は…。」
と入江は言葉を濁した。
「とりあえず、社長の伝言をお伝えしました。社長に直接お話があれば、私に連絡をください。今日はここで失礼します。」
奈々は走っていく車を呆然と見ていた。
(- 樋口グループ)
そこまでとは大きな会社…、笑うしかなかった。
部屋に入ると、冷蔵庫からビールを取り出した。
プシュという音をさせ、プルトップを取り、ビールを流し込んだ。
(- これか。湊が抱えていたもの。)
そして、この間の電話は、湊のお父様が仕向けたことか。
(- あたしの所まで来るっていうことは、湊にも…。)
奈々は、ベランダに出て、月と星のない真っ暗な空を見上げた。
社長秘書 入江 大輔
そこには、そうあった。
「樋口グループ?」
奈々は声を出した。
「湊様のお父様の会社です。そういえばご理解頂けますか?」
カマを掛けるようにその男性は言った。
「何のことかわかりません。」
奈々は、向こうの出方を待った。
「そうですか。単刀直入に、湊様とは会わないで頂きたいと、社長よりのご伝言です。」
「いや…と言ったら?」
奈々は、真っすぐ目を見て言った。
「それ以上は…。」
と入江は言葉を濁した。
「とりあえず、社長の伝言をお伝えしました。社長に直接お話があれば、私に連絡をください。今日はここで失礼します。」
奈々は走っていく車を呆然と見ていた。
(- 樋口グループ)
そこまでとは大きな会社…、笑うしかなかった。
部屋に入ると、冷蔵庫からビールを取り出した。
プシュという音をさせ、プルトップを取り、ビールを流し込んだ。
(- これか。湊が抱えていたもの。)
そして、この間の電話は、湊のお父様が仕向けたことか。
(- あたしの所まで来るっていうことは、湊にも…。)
奈々は、ベランダに出て、月と星のない真っ暗な空を見上げた。