肉食御曹司に迫られて

隣にいた、樋口正樹は
「誰からだ？」
と聞いた。

入江と正樹は、車の後部座席に2人で座っていた。

「湊様の、お相手の女性です。社長とお話をしたいとのことでした。」
正樹は驚いた顔をして、
「わざわざ、向こうからか？金目当てか？」
ロクでもない女なんだろう、正樹は思った。
「いかがしましょう？」
「まあ、呼ぶ手間が省けたな。時間を調整しておけ。場所は…ホテルのサロン…だと、込み入った話はできないな…。まあいい、身の丈を思い知らす為にも、社長室に呼べ。」

「…かしこまりました。」

奈々は、電話を切ると、大きく息を吐いた。

（ー とりあえずは、入江さんからの連絡待ちか。）

温くなっている、コーヒーを口に含んだ。


その後、入江から連絡があり、10日後に会う約束をした。

（ー とりあえず、湊のお父様と話さないことには、何が問題なのか、はっきりしない。まずは、そこからだ…。）