肉食御曹司に迫られて

(- なんか、見かけと違って、はっきりとした、素敵な人だな。)
と、奈々は思った。
二人で、ビールを飲み、一息つくと、絢香は、
「いきなり、連れてきてごめんね。」
と謝った。
「ううん、全然。晃さんと、絢ちゃんは心配してくれたんだよね。」
「あたしも、多少は立場のある人と付き合う苦労はわかるけど、湊さんの場合、桁違いだから…。」
絢香は、切なく言った。
「絢ちゃん…。ありがとう。」

それから、絢香と晃の出会った話しや、奈々と湊の話、お互いの仕事の話など、
2人はいろいろ話した。

そこへ、ガチャっと扉の開いた音がした。
「晃さんかな?」
奈々は立ち上がった。
絢香も何も言わず、玄関の方へ行き、
「奈々ちゃん、ごめんね、騙すつもりはなかったけど、湊さんの会いたい気持ちに協力しちゃった。」
と言った。
奈々の目の前には、湊と晃がいた。
「絢、ただいま。上行こうか。」
と晃は絢香を促した。
「うん。」
と絢香はいい、奈々の方を申し訳なさそうに見た。
奈々は、そんな絢香に微笑んだ。
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