肉食御曹司に迫られて
大筋の話を聞いた晃は、
「じゃあ、とりあえず、親父さんの出方待ちってことだよな。」
「たぶん、そうなるな。何かしら言ってくると思う。」
そんな二人の会話を聞き、奈々は静かに言った。
「晃さん、湊、絢ちゃん、ありがとう。でも、お父様と約束したの。湊の邪魔はしない。あたしと、樋口社長の問題だって。だから、2人は自分のすべきことをして。きちんとこれから、話はする。でも、あたし自身でお父様に認めて貰わなきゃ意味がない。湊と対等な立場じゃなければ、湊の横にいる資格はない。その為の努力は惜しまないから。」

「ホント、奈々ちゃん、強いな…。」
晃は感心したように笑った。
「でも、奈々、親父手強いぞ。条件だけでもかなりあげてくる。」
「そうだろうね。だから、あたしもすべき事をしなくちゃ。」
湊は、奈々の少し遠い目の意味がわからずにいた。

「あっ、湊、ひとつだけ、教えとくね。あたしフランス語できるから。内緒話にならないから、気を付けて。アミラさんだっけ?元カノさんなの?」
「・・・!!」
湊は驚いた。
「奈々、お前…。」
「一流ホテルのコンシェルジュをなんだと思ってるの?ちなみに、英語も、ドイツ語もわかるから、あと、簡単な事なら、中国語と韓国語も。それ以外の言葉で、悪口や、内緒話はお願いします。」
湊は、観念したように、
「それ以外の言葉、というか、そんな沢山、俺話せないから、悪口も内緒話もできないよ。」
「そうして。」
奈々も笑った。
「奈々ちゃん、語学の天才だね。」
晃と絢も感心したように言った。

(- 奈々、今なら言えるよ。出会ったのは必然だ。)
< 171 / 191 >

この作品をシェア

pagetop