肉食御曹司に迫られて
すると、少し遠くがざわつくのが聞こえた。

「綺麗なお嬢さん、うちの、息子に…」
「あのドレス…今年の新作じゃない?素敵ね。」
そんな声をよそに、

まっすぐに、こちらに向かってきたのは、
(…奈々。)

奈々は、ホワイトとブラックのドレス…上半身は品の良い白のレース素材。ブラックのサテン地のスカート。クリスチャンルブランのパンプスに白のバックを持っていた。
ノースリーブから、出た細く白い腕には、ゴールドの時計とブレスレット。爪は品の良いピンクとベージュのネイルが施されていた。

スタイルが良く、身長も高い奈々は見事にそのドレスを着こなしていた。

まっすぐ、正樹の元へ歩いてきた奈々は、
「樋口会長、本日はおめでとうございます。また、ご招待ありがとうございます。」
正樹は、奈々の圧倒的な存在感に、少し遅れたが、すぐに
「こちらこそ、来てくれてありがとう。」
といつも通りに答えた。そして、
「こっちが、家内の樋口 実可子だ。」
和服の上品そうな、女性が頭を下げると
「初めまして。湊の母です。」
正樹とは対照的に穏やかな人だった。
奈々は、
「水澤奈々と申します。初めまして。」
と微笑んだ。
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