肉食御曹司に迫られて

すると、そこへ
「正樹さん、その人？」
とフランス語が横から割り込んだ。
「ああ。」
「ふーん。」
とアミラは、奈々を見た。
奈々は、
（ー この人がアミラさんね…。）

「初めまして、水澤奈々です。お会いできて光栄です。」
と、フランス語で挨拶した。
アミラは、ビックリした顔をし、
「話せたのね？あたしは、ベルナール アミラよ。ミナトとは、留学時代からの付き合いよ」
と言った。
「はい、伺ってます。」
奈々はニッコリ笑った。

その微妙な雰囲気を壊すように、
「あー、ナナだよね！ナナ！僕のこと覚えてる？」
アレックスが途中で割り込んだ。
「あー、晃、こないだみたいに、通訳早く！」
微笑みながら、奈々は、
「Mr.アレックス。先日は失礼しました。」
「なんだ、ナナ、話せたんだ。悪い人だな。」
と笑った。
「奈々がミナトのお姫様？」


その様子を見ていた、正樹は
「何カ国話せるんだ？」
と奈々に聞いた。
「完璧にとはいきませんが、日常会話なら5カ国語です。」
正樹は驚いた。そして、フッと笑った。
（ー 私の負けか…湊に出した、家柄、容姿、語学力、頭脳明晰…。ほとんど揃ってるな。家柄はさて置き、これだけのパーティで物怖じしない度胸。）