肉食御曹司に迫られて
母親達は、目を合わせて微笑んだ。

どうなってるか、わからない2人に、
奈々の母は湊を見て、
「あなたのお母様と私は大学時代の友人なの。あなたが生まれた時に、会いにいったわ。それからは、お互い忙しくて疎遠になってしまったけど。こんなに、大きく立派になって。」
そこまで、いうと、奈々を見た後、湊の方に向き、
「本当、久しぶりに会った奈々は、別人のように、生き生きし、私の望んだ幸せを1人で見つけてきた。何も持たない奈々を、1人の人として好きになってくれた。感謝しか、ありません。」
貴和子は頭を下げた。
湊はただ、頭を下げた。

そこへ正樹がやってきた。
「奈々さん。なぜ、東都銀行の水澤頭取の娘と初めから言わなかった?」
奈々は、
「何も知らずに湊さんと出会いました。家柄ではなく、私自身で、認めて欲しかったんです。騙すような形になり、申し訳ありません。」
奈々は深々と頭を下げた。
そんな、奈々を見て、
「流石だな。初めて君を見たときから、こうなる気がしてたよ。」
と笑った。
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