肉食御曹司に迫られて
そこに、内線が入る。
「コンシェルジュデスク、水澤です」
「藤堂です。おつかれさま。」
「マネージャーお疲れ様です。」
上司の藤堂だった。
「水澤、今日中番だよな?19:00まで?」
「はい、そうです。」
「申し訳ないけど、今日、上の仕事頼める?」

「了解しました。場所はどこですか?」
「53階のレストラン」

要件だけを聞き、奈々は電話を切った。

藤堂和也は奈々を採用した人だ。奈々の経歴や事情を知っている数少ない人物。
一人で生活をしていると話した時に、高層階のレストランやBARでピアノ演奏のバイトを内緒でさせてくれている。

同僚や、いろいろな人に知られると、いろいろ面倒だ。

副業も良く思わない人はもちろん、高層階に出入りするということは、好機の目にもさらされる。理由はどうであれ、VIPだらけ、エリートだらけの場所に1度でも行きたい!と思っている女子社員はこのビルには大勢いるのだ。



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