肉食御曹司に迫られて
その時の奈々と言えば、内心大胆な発言をしてしまった自分に驚きつつも、今日もう一度、湊に会えたこと、素の自分で入れることが嬉しかった。
そして、もう少し一緒にいたいと思ってしまっていた。

「お待たせ、行こうか。」
と湊が声をかけ、奈々はゴミをまとめて、立ち上がった。

奈々の車に乗り込み、東京へと戻る。
湊はさすがに、会社と住居のある場所には送ってもらうのはまずい。
と近くの駅で下してもらうよう頼んだ。

「ここでいいの?」
奈々が聞いた。
奈々からすれば、奈々自身いつも降りている駅だった為、こんな近くに住んでいるという驚きと、会社近くということもあり、ビジネスモードに多少戻っていた。
海だけが、完全にオフモードになれる場所だからだ。

「ああ、ありがとう。」
湊は奈々の空気が少し変わったことを感じた。
「ねえ、ななちゃん、連絡先聞いていい?」
奈々は、一瞬悩んだが、ホントの私をこの人は知らない。
素の自分でいられる人をもう少し知りたい。そんな思いでいた。
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