肉食御曹司に迫られて
料理が来る間、奈々は一杯目のビールに口をつける。
「ホントにあたしだけ飲んでいいの？ごめんね。」
奈々が申し訳なさそうに言うと、
「最初からそのつもりだったし、むしろ遠慮せず美味しく、飲み食いしてくれた方が連れてきた甲斐があるから。それに、食べたい物あったんだろ？ショーケース楽しそうに見てたもんな。」
とクスクス笑った。
「…そんなに、見てた？」
奈々は、少し恥ずかしくなった。

「見てたよ。すごく嬉しそうな顔して。クールそうで、綺麗な子とだなと思ったら、料理見て百面相してて、ついつい見てた。」
思い出したように、まだ湊は笑っていた。

「ちょっと、東京離れるとすぐ気が抜けちゃって。気をつけなきゃ。」
と、奈々が真顔で言うと、
「なんで？クールな奈々より、見てて飽きない奈々の方がずっといいよ。」

と湊は笑った。
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