肉食御曹司に迫られて
不幸にする為の、傷つくだけの出会いなんて。

湊は深くため息をついた。
今なら、まだ戻れる。
自分自身に言い聞かせた。

内線が鳴った。
「社長。お時間です」
秘書からの内線を切り、会議室に向かった。


会議を終え、晃が声をかける。
「社長、何かありましたか?」
付き合いが長いせいか、すぐに色々見破られる。
「何もない。なぜ?」
と聞く。仕事はしているつもりだった。
「…雰囲気?空気感?」
晃は、抽象的な発言をした。
そして誰も周りにいなくなると、
「…仕事がひと段落したら2人で飲みに行こう。仕事は完璧だから心配するな。」
と、肩を叩いて副社長室に入って行った。
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