肉食御曹司に迫られて
(―おなかすいたな。)
車の時計をみると21:12の文字

以前から気になっていた、海沿いに建つ店に車を止める。
BAR?カフェ?レストラン?そんなおしゃれな雰囲気のお店。
≪テイクアウトできます≫
の文字が目に入る。

(-合コンで気を使うより、おいしいものを買って、海を見ながら食べよう。)
気分が高揚し、仕事モードからオフモードへと変わるのが、奈々自身も分かった。

ウキウキしながら、足取り軽く店内に入る。

店内は少し暗く、ゆるやかにジャズが流れている。
店に入ってすぐの、ショーケースを眺める。

キッシュや、前菜、サンドイッチ、パスタ…。
イタリアンのテイクアウトのようだ。
大好きなチキンのブルーチーズあえもある。

「美味しそう・・・」
つい声がでてしまい、可愛らしい女の子の店員さんと目があった。

少し恥ずかしくなり、目を伏せた。

「お決まりになりましたら、お声がけくださいね!」
軽やかに微笑み、彼女は言った。
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