肉食御曹司に迫られて

湊は少し間を置いて、
「そうだ。」
と答えた。
「初めてだな。急にお前が女のために、時間を作るなんて。どこのご令嬢だ？父上の絡みで、断れなかったのか？」
湊は、切ない表情を浮かべながら、
「違う。普通の女。ナンパした。フリーターかも。」
「マジっ！！！！」
晃はかなりびっくりした様子だったが、

「本気か？」
と静かに聞いた。
「…あぁ。」

「そっか。」
とだけ答えて、晃も真顔になった。
「とりあえず、体調を崩してるみたいだから、様子を見てくる。」
「わかった、行け。後は大丈夫だから。」

「サンキュ。また今度ゆっくり話す。それと、和食の弁当を買えるところ知ってるか？」
「湊が買っていくのか？」
と晃は笑い、
「7階の和食利休が、お弁当もやってるって秘書の女の子達が言ってた。」
「行ってみるよ。」
と、湊は副社長室を後にした。