【完】お前しかみてねーよ、最初から。
「爽汰くん、部活終わり?」
「うん、そうだよ。榎本さんは委員会だよね」
「うん、神崎さんとかは?」
「もうすぐ来ると思うけど…榎本さんはまだ帰んないの?」
上履きからスニーカーに履き替えながら、爽汰くんが聞いてきた。
「帰りたいんだけど…傘がなくて」
「じゃあ俺傘持ってるけど入る?」
傘立ての中から傘を取り出すと傘を広げる爽汰くん。
「俺の傘デカイから濡れないし家まで送るよ」
「えぇ!?悪いよ!! 」
「全然いいよ、もうこんな暗いし榎本さん1人じゃ危ないでしょ?
だから、俺のためだと思って送らせてよ」
爽汰くんは爽やかに笑うと、“ほら”と首をかしげた。