【完】お前しかみてねーよ、最初から。
『さくら?』
電話越しに夏海が心配した声。
でも私は答えることが出来なくて。
神崎さんが告白したらきっと二人は付き合うだろう。
誰が見てもお似合いで。
「……うぅっ…」
今頃気づいてしまうなんて。
気づかなければこんなに苦しくなかったのに。
「もうやだよ……」
ポタポタと零れる雫。
『今すぐ屋上行くからねっ!?』
「うぅ〜っ…」
冷たい風が、私の頬を優しく撫でた。