【完】お前しかみてねーよ、最初から。
神崎さんは俯いたままそう聞いてきた。
「なんだか放っておけなくて。体が勝手に動いてて……」
神崎さんは壁にもたれながらズルズルと座り込んだ。
私は慌てて足の痛みも忘れて駆け寄る。
「神崎さん、大丈夫!?」
「大丈夫……榎本さん…ありがとっ…」
よほど怖かったのか神崎さんは泣いていて。
こういう時なんて声をかければいいか…。
「……やっぱり勝てっこないや…」
そう言い、あはは、と泣きながら空笑い。
「榎本さんごめんね。
本当は私榎本さんに嫉妬してた」
「……え?」