【完】お前しかみてねーよ、最初から。




神崎さんは俯いたままそう聞いてきた。





「なんだか放っておけなくて。体が勝手に動いてて……」





神崎さんは壁にもたれながらズルズルと座り込んだ。




私は慌てて足の痛みも忘れて駆け寄る。





「神崎さん、大丈夫!?」



「大丈夫……榎本さん…ありがとっ…」





よほど怖かったのか神崎さんは泣いていて。



こういう時なんて声をかければいいか…。





「……やっぱり勝てっこないや…」




そう言い、あはは、と泣きながら空笑い。





「榎本さんごめんね。

本当は私榎本さんに嫉妬してた」




「……え?」


< 251 / 276 >

この作品をシェア

pagetop