イジワルな副社長に恋してる!
「振り回してるのは、そっちでしょ!」
少し怯えるような瞳をしながらも、絢香は晃を睨みつけたまま言った。

「なんで…。」
晃は苛立ちを更に抑えられなくなった。
絢香を上から見下ろし、一瞬見上げた絢香の唇を強引に塞いだ。

驚いて目を丸くした絢香に
「目、閉じろ」
とだけ言うと、強引に口内に下を入れ、縮こまった、絢香の下を絡め取った。

絢香の漏れる声に、ハッとなり、腕を少し緩めた。

それを見計らったように、絢香はドンっと胸を押して、逃れようとした。
絢香は、乱れた息と、涙をためた目で、
「なんで、こんな事…」
まだ、強気に睨んだ。
その強気な態度にまた、晃の中の何かのスイッチが押されてしまった。
「感じたくせに。」
その言ってしまった言葉に、絢香の顔はカッと怒りの色が滲んだ。
それすらも、許したくなくて、晃はグイっと引き寄せ、また唇を重ねた。
そして、絢香の後頭部を強く抱き寄せ、逃げられないようにした。

何度もキスを繰り返し、口内に攻め込んだ。
「いやあ…。」
息継ぎすら、ままならないぐらい、唇を塞いだ。
晃は絢香が崩れ落ちたのと、同時に唇を離した。

絢香は肩で息をして、涙を流していた。

その時にはもう、遅かった。

左の頬に痛みが走った。絢香の手のひらの感触が残った。

平手打ちをした後、絢香は
「最低。あたしは、あなたがいつも遊んでるような女じゃないの‼︎バカにしないで!」
と叫び、走って大通りに出ると、タクシーを拾い姿を消した。

(ー 何した?オレ…本当最低だ。)
晃は、路地裏で、空を見上げた。
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