記憶のないお姫様
夜の世界の狼
夜の繁華街はネオンがキラキラとひかる。
でも、私達がいる場所はそれと正反対。
真っ暗な闇だけが続いている。その闇の中に音が響く。
バキッ!
グキッ!
ゴキッ!
気味の悪い音。
そして、少し高い女の声。
「私たちに手ぇ出すとか・・・死にてぇの?」
もう一人は少し低めの声。
「バカじゃん。キャハハッ!」
不気味な声、それが重なる。
「「闇の狼。降臨。」」
「がはっ!」
二人の女は銀色の髪をなびかせて、赤い目を光らせて。
暗闇に消えていった。
そこを男に見られていたのを、闇の狼は知らない。