記憶のないお姫様
「はい。」
中から声が聞こえる。
「転入してきました。木々利と小暮です。挨拶に来ました。」
「入っていいよ。」
そう聞こえたから、ドアを開け、理事長室に入る。
「初めまして。理事長の加々美です。」
中にいるのは、結構若そうな人。
「初めまして。木々利と小暮です。」
少し微笑んで言ってみた。
春は喋らない。
この学園では喋れない設定。
私達は、いつも色々設定を変えている。
「この子は・・・」
喋らない春を不思議に思ってか、理事長が私に聞いてくる。
「この子は声がだせないんです。」
「そうか・・・。」