記憶のないお姫様
見失うな!
私はいま、学校の屋上にいる。
嫌だった。
春に・・・凛精に会わせる顔がない。
『ごめんね、春。私、もう、タイムリミットが来たときから、こうしようって思ったの。
さよなら・・・。』
私は春の携帯に届くようにそう残した。
びゅうぅぅぅぅっ!
風が唸る。
だんだんと暗くなる空。
下を見ると、体が少し揺れる。
怖いなんて思わない。逆に・・・嬉しいかな・・・?
「・・・大、好き。」
飛び降りようとしたその時、
「鈴っ!!」
「え・・・。」
春と凛精が転がり込んでくる。
「何で・・・。」
「何で、そんなことをするの・・・?」
美都の声が少し震えている。泣きそうだ。