記憶のないお姫様
起き上がり、そっと病室を出る。
広い所に出る。そこは一面ガラスばりで、遠くを見ると、まだまだ眠らない夜があった。
よく、お母さんが話してくれたっけ。
明かりの数だけ、人の悩みがある、と。
星の数だけ、生きている人がいる、と。
だから、昔は悩んでいたとき、自分の悩み何てこの世界の百分の一にも満たないんだと思っていた。
でも・・・今はそうは思えない。
「・・・。」
「!?」
後ろをバッと振り替える。
誰かの気配を感じた。
今はもう、あんまり動いてないけど、これでも世界No.1の闇鈴だからね。
そこには、小さな子供がいた。
「おねぇちゃん、泣いてるの?」
「え?」
「ないてなよ・・・?」
「でも、これから泣くでしょ?」
男の子に言われ、目を見開く。
頬を濡らす涙。