ドメスティック・ラブ

「よしよし、あんまり二人の時間邪魔すんのもあれかと思ってたけど、そういう事ならしまっちが寂しくならないようにまた飲みに行こうな」

「えー、いいなー」

「さとみんはパソコン置いてスカイプで参加するか」

「おっ斬新だね、それ。やるやる」

 よっしーとさとみんが楽しそうな計画を立てている。
 そうか、そんな手もあったのか。海を越える宴会。それはちょっと楽しみかもしれない。

 まっちゃんを見ると、言ってよかっただろ?という風に笑われた。声に出した訳じゃないけど、それくらい分かる。
 うん、大人なんだから割り切って我慢しなくちゃと思っていたのに、正直に主張していいと言われて一気に気が楽になったのは確かだ。黙ったままさとみんがアメリカ行っちゃわなくて良かったとは思うけど、ただまっちゃんの前で泣いたのすら恥ずかしかった所に加えて、さとみんとよっしーにまで泣き顔を披露してしまったのは一生の不覚な気もする。

「いやー、しまっちが泣くとこなんて初めて見たし、この流れだとさとみんも泣くかと思ったけど泣かねーのな」

「しまっちが珍しく泣いたのは何よりまっちゃんがいたからでしょ。まっちゃんがいたらどこか気が緩んでんのよ、この子。だから私も彼の前でしか泣きませーん」

「よーし、披露宴でしまっちに友人代表で号泣必至のスピーチさせよう。お前ら二人が泣いたら皆もらい泣きして感動の渦になるぞきっと」

「えー、そんな感動的なスピーチなんて書けない……」

「大丈夫、まっちゃん先生が添削してくれる!」

「俺、国語教師じゃないんだけど」

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