ドメスティック・ラブ
ヤバい。変な声出た。
雰囲気台無しなのは分かってるけどでも仕方ない。
まっちゃんは既に答え終わってしまったらしく、私の順番。
しまった、どういう顔で答えるんだか見ててやろうと思ったのに笑いの神様と戦ってたら聞きそびれた。
────健やかなる時も病める時も互いを労わり、敬い、慰め、助け、その命の限り心から愛し続ける事を誓いますか?
互いを労って敬うのはいい。その包容力は凄いなって思ってるし、色々お世話になってるから感謝もしてる。一生切っても切れない絆を感じてもいる。私が出来る事はしてあげたいから慰め助けるっていうのもいい。
けど……愛し続けると言われても、そもそも現状で愛って存在してたっけ。
「……誓いま……す……?」
厳粛な結婚式のクライマックスであるはずの誓いの言葉が、明らかに疑問系になってしまった事。控室に戻った後で両親に散々叱られた。
* * *
人生で肝心なのはタイミングだ。チャンスの神様は前髪しかないから後ろからじゃ掴めないって言うしね。
交通事故はほんの一瞬タイミングがずれていたら違う結果になるはずだ。ドラマや漫画の中ですれ違う恋人達だって、タイミングが変わっていたら無駄に回数重ねて回りくどい事をせずにあっという間にハッピーエンドになると思う。
だから私達がこんな事になったのも、全てはタイミングのせいなのだ。