ドメスティック・ラブ
4.やっぱりジェラシー
「いくらその気がないからって二人っきりはないでしょう?!嫉妬するなって言うなら変に誤解される様な事するなって言うんですよ!」
「いやでも疚しい事はないって彼も言ってるんでしょ?だから自己申告で話してくれたんだろうし……」
「でもやっぱり彼女としては嫌に決まってるじゃないですか、自分以外の女の子とお茶したなんて!」
どうしよう、どこで止めるべきか。
隣に座った一学年下の後輩であるよねみーの前には、既に空いたグラスが四つ、いずれも違うカクテルが入っていたものだ。久々にゆっくり話したけれど、私の記憶ではそんなに彼女はお酒に強くない。
一応先輩らしく何度か飲み過ぎだよ、とさり気なく言ってはいるものの、ヒートアップしたよねみーは私の制止を振り切ってガンガンアルコールを流し込んでいる。
要は、よねみーの彼氏が会社の後輩の女の子の仕事の悩みに付き合って会社の帰りにカフェで一杯コーヒーを飲んで来たと話した事から大喧嘩になって挙句別れた、という愚痴だった。忌憚なく言わせてもらえば、食事じゃなくてコーヒーで済ませたのは彼氏のよねみーに対する義理立てだったのだと思うし、その日の内によねみーに話すくらい何も後ろめたい所はなかったんだろうからいいじゃないかという気がする。でもよねみーにとってはそうじゃなかったらしい。本人も今更どうしようもない事は分かっていて愚痴りたいのだろうから余計な意見は口を挟まないでおく。
誰か一緒に止めてくれないかな、と見回したけれどよねみーと仲の良い依ちゃんはちらちら荒れている友人を気にしている素振りがありつつもちょっと離れた席だし、さとみんもちょうど対角上にいるので加勢してもらうには難しい。
集まった人数、学年取り混ぜ二十一人。
和風創作ダイニングを謳った居酒屋の、個室の座敷にアラサーの男女がずらっと並ぶ。割と急な誘いだったのに土曜日の夜にこれだけ揃ったのが凄い。休日出勤だったまっちゃんですら、仕事帰りに集合時間に少し遅れながらも合流した。