ドメスティック・ラブ

「やっぱ大切にされてたら多少の事でも動じない自信がつくのかなあ……」

 真面目に考え込みつつまりっぺは卓上の大皿に積み上げられたポテトを摘んで口に運んでいる。
 その理屈で行くと、さっきのよねみーは彼氏との関係に不安があるから余計に嫉妬深くなってしまったって事になる。よねみーの彼氏は変に隠し事を作らなかった分誠意を見せたんだと思うけれど、それが返って仇になったのは皮肉な話だ。
 いや、ていうか私がまっちゃんに介抱されてるよねみーに妬かないっていうのはこういうのとは全く別の話なんだけどな。まあ今のまっちゃんとの微妙な関係をわざわざ皆に暴露するつもりもないので、誤解は仕方ない。
 そう思いながら私もグラスを片手に枝豆に手を伸ばす。

 その時すぐ横の障子風引き戸が開いて、よねみーをトイレに連れて行ったまっちゃんとタザキチが部屋に戻って来た。

「お帰りー、よねみーは?」

「吐いたらすっきりしたみたいで顔色は戻って来てたぞ。トイレ前の椅子でちょっと休憩してから戻ってくるってさ。依がついてるしもう大丈夫だろ」

「しっかし今日のよねみー潰れんの早過ぎだよなあ、料理全部揃ってもねーべ。俺まだ全然酔ってないわー」

 よねみーの回復は早そうで何よりだ。一度アルコールが抜けて冷静になれたら気持ちも落ち着くだろうし。
 二人はそう言うと、私達の代の会長だったよっしーと一つ前の代の会長だったこばやん先輩が手招きしている席の方へと歩いて行った。二次会の相談でもすんのかな。代わりにさっきまでよっしーと話していたさとみんがグラスを持ってこっちに移動してくる。

< 42 / 160 >

この作品をシェア

pagetop