ドメスティック・ラブ
焦った様に腕を振る今ちゃんにさとみんとまりっぺが爆笑している。
それを見ながら私は複雑な気分で、戻って来たサワーのグラスに口をつけた。
まっちゃんがわざわざ先輩の隣を離れて私の隣に来る辺り、それはよねみーの元彼と同種の誠意なんだろう。でも私が今更先輩に妬いてたとか、変な誤解しないで欲しいんだけど。
「酸っぱくない?それ」
さっき「味見」したまっちゃんが私の持っているグラスを指差して言う。
「甘いの好きじゃないからこれでいいの」
皆が変な事言うから、まっちゃんの顔がまともに見られないじゃないか。隣にいるのに、目も合わせられない。
何か言う代わりに私はグラスに残っていたサワーを一息に飲み干した。溶けた氷と果汁で薄まった冷たいアルコールが喉を通って胃の中へと落ちていく。
「次、私モヒート」
「お前強い方じゃないんだから、あんまりハイペースで飲むとよねみーの二の舞いになるぞ」
いやいや、私は嫉妬し過ぎて勢いで飲み過ぎて酔い潰れるとかしませんから!普通に自分のペースで飲んでるから!
「まあ明日日曜だし俺もいるし、今日は好きなだけ飲んでいいけどな」
まあ確かに、確実に自宅まで連れ帰ってもらえるというのは気が楽だし、お酒が進む一因になる。