ドメスティック・ラブ
相変わらず世話なら焼かれている。
ならまっちゃんが私に手を出さないのは夫じゃなくて保護者目線だからだろうか。
大学入って最初に付き合った先輩には確か「やっぱりしまちゃんは妹みたいな存在だった」とか言ってふられたなあなんて事を思い出す。
「……あっそう言えばさとみん何か用事あったんじゃないの?」
さとみんは聞き上手で、私の事もまっちゃんの事もよく知っているだけについ色々話したくなってしまう。
こちらの愚痴のペースに巻き込みかけてしまっていたけれど、元々は電話していいか訊いてきたのはさとみんの方だった。それを思い出してソファーの上で身体を起こす。
「何、飲みに行こうってお誘い?それとも皆でどっか遊びに行く企画立てちゃう?いいよ、私はいつでも暇だし……」
『あー、しま。残念だけど、お酒は当分飲めないかも』
私も無駄に時間があるから変に考え込んでしまうのかもしれない。パーッと遊べばいつものノリで普通に過ごせるんじゃないかなんて思ったのに、返ってきたのはさとみんの申し訳なさそうな声だった。
「何、どうしたの。さとみんも身体の調子悪かったりする?それともダイエットでもしてんの」
『……』
そう問いかけたら、さとみんが言葉に詰まったのか一瞬沈黙がおりた。怪訝に思いながらもそのまま待っていると、電波の向こうでさとみんが小さく息を吐く音が聴こえる。