ドメスティック・ラブ
『しま、あのさ』
「うん」
『……子供、出来た』
────え。
「えええええっ?!」
予想外の言葉に口をついて出た叫びは途中から声が裏返っていた。
妊娠?さとみんが?
でも、彼女の恋人は確か。
『……で……嘉浩君と結婚、する事になった』
嘉浩君というのはさとみんの彼氏だ。七つ年上でバツイチ。取引先の人で仕事中に知り合ったって言ってたっけ。
一度の失敗で懲りてもう結婚する気はないと付き合う前からさとみんは言われていて、それでも好きだからと諦め切れず、悩みつつももう三年くらい付き合っていたはずだ。さとみんの方には結婚願望があったから、別れようかと思ってるのに別れられないという話は何度も聞いた。
「……一応先に聞くけど、前向きに?」
『妊娠した事切り出したら、プロポーズされた。私とならやっていけるかもしれないってちょっと思ってたって……だからきっかけにはなったけど、子供出来たから結婚したくないのに仕方なく、とかではないって』
さとみんの声に照れ臭そうな色が混じる。
彼の結婚観が変わってきていたなら、この間の看病作戦もあれで結構効果があったのかもしれない。