交際0日のプロポーズ~純情男子の恋の傾向と対策
「何?」
「あの…私、塾辞めることになって…」
この時期に辞める、ってことは…
「推薦受かったの?」
「…うん。」
「おめでとう。」
「!!…ありがとう!」
何となく
「おめでとう。」
なんて言ったけど止した方が良かったかな?
俺は嬉しそうに頬を染める女の子を見て思った。
「あの…それでね…酒井君受験で忙しいのに悪いなって思ったんだけど…
もう会えなくなっちゃうからどうしても伝えたくて…」
居心地悪そうにピカルがそっと席を立とうとする。
俺はテーブルの下でピカルのブレザーの裾をぐいと捕まえた。
(居心地悪いのは俺も同じだっての。付き合え。)
「酒井君…」
女の子が震える声で俺の名前を呼ぶ。
ここで情にほだされてはいけない。
ピカルのブレザーを掴む手に力を込める。
「ずっと…好きだったの…。
良かったら…
ラインだけでも交換して下さいっ!」