団子屋の中でいなり好きですか?(中)
満月の夜・・
(今宵の月は、綺麗だなぁ。明日は、満月かな。)木柱に腰をかけ、一人の青年の声。
はいとだけ語る十二単を着た女性。
時は、平安中期。灯りは、蝋燭と月の光。虫の声、かえるの声
桜の木が揺れ、花びら舞。そして、二人の影・・・
(おきなさい。)と声が聞こえ、目蓋を開けると・・・いつもの光景。
今の夢は・・・と微笑む。桜井黄菜子29歳、独身・3年前に彼氏と別れ彼氏無し。職業 学校栄養教諭。今日で、5年間赴任した学校ともお別れ。明日から、新しい学校に赴任が 決まっている。
(今、何時だと思っているの。もうすぐ8時だよ。。今日は最後なんだからしっかりしなさい。)母の一言で目を覚ます。(ヤバい、こんな時間)
家は、自営業。1100年続くお店。安倍屋
父磯也が35代目。母杏子と弟大福(だいすけ)(36代目父の元で修行中)笑いながら(まだ、寝てるの!)弟が言う。(うるさいな。)と思いつつ。朝ご飯を食べる。おいなりさんと味噌汁。
必ず何かの行事の時は、食べる風習がある。
食べ終わり頃に父から、(結婚は未だか)
いつもうるさいように言われ、今日もかとうんざりしている。
(行ってきます)
(行ってらっしゃい)父、(しっかり挨拶してらしゃい)母。そして、いつも風景
(明日から、別の風景か)と思い、しんみりする黄菜子。
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