君とゆっくり恋をする。Ⅰ【第1話 〜第5話】(短編の連作です)



『いや、もし行けたら行くということだから、一応住所だけは教えておいてくれるかな?』


もしかして、『住所なんか教えたくない』と思っているのかもしれない…。
去来し始めるそんな不安を抱えながら敏生が再びメールを送ると、今度はすぐに結乃から返事が返ってきた。


『一応、私の住所を書いておきますが、遅くなったら無理はしないでくださいね』


というメッセージの後、結乃の住所が記されていた。

このメールをもらっただけで、敏生の心にエネルギーが充填されて、動き出す力になる。


――よし…!


あとは、手際よく仕事を片付けて、予定の便より早い飛行機に乗るだけのことだ。この上向いた気分に乗じて、これからのミッションも易々とクリアできそうだった。


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