君とゆっくり恋をする。Ⅰ【第1話 〜第5話】(短編の連作です)



その時、ちょうど手の空いていた結乃と数人が、営業1課へ回されることになった。

こんな幸運は、二度とないかもしれない……!
でも、慣れない仕事をうまくこなせるだろうか……。


大きな期待とそれと同じくらいの不安が入り混じりながら、数日間限定の結乃の営業1課での勤務が始まった。


結乃は、普段は別の事務職員が着いているデスクに案内されると、キョロキョロと周りを見回して、敏生の姿を探してみる。

すると、……いた!
真剣な表情で課長と向かい合い、何やら話し込んでいる。

敏生は、社会人になって毎日のように大口のお得意様を相手にしているからか、とても清潔感があって凛々しくて……。


――芹沢くんっ…!カッコいいっ!!


高校生の時に比べると、それはもう、洗練されて格段にカッコよくなっている。


そんな敏生と同じフロアにいるだけで、結乃は感動した。
ここに居れば、敏生に自分の存在を知ってもらえるかもしれない。……そして、もしかすると、高校時代に同じ場所で過ごしたことを思い出してくれるかもしれない。


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