失礼男の攻略法

なんだ?と思って、突っ伏したまま首をひねると

「だって、これまでにデートだとか浮かれてるのは何度もありますけど、こんな風に悩んでるっぽい先生見るの初めてですよ」

うんうんと一人で頷きながら美希ちゃんが話しているのを聞きながら、たしかに、そうかも、と思う。

誘われてデートに出掛けて、やっぱりダメで落ち込んだりすることはあったけど、こんな風にその人のことを思ってモンモンとするのは、学生時代に付き合ってた唯一の彼氏の時以来だなって。

大学の時、司法試験を目指す人が集まるサークルで一緒だった2つ上の先輩。あの頃は自習室で会えたから、こんな風に、どうやったら会えるだろう、なんてことは考えたこともなかったなーと懐かしい思い出に浸っていると

「で、そんな乙女モードの先生にいい情報を1つだけ」

美希ちゃんに声を掛けられる。見るとスマホ片手にニヤリと笑っていて、ちょっぴりこわい。

「今の世の中にはSNSって便利な道具があるんですよ。ほら、なんていう方ですか?」

なんてすり寄って来るから、なお恐い。
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