失礼男の攻略法
「もう、ほんとヤダ。なんで毎回邪魔するの?このまま結婚できなかったらお兄ちゃんのせいだからね!」
泣きそうになりながら、残念な兄を睨みつけながらそう言うと
「毎回ロクなの連れてこないお前が悪い」
そう言い切られる。
「お兄ちゃんなんて、ほんとキライ。ハゲてしまえ!」
そう言い返したところで、ぷっと笑い声が聞こえてくる。
ソファーで背中合わせになっている後ろの席からだ。子どもみたいなやり取りを思い出して恥ずかしくなっていると、その笑い声の主が振り返った。
「男に相手にされないの、兄貴のせいにしてるなんて、だっせー」
ふざけたような言葉を紡ぎ出しているのは、いかにもこのラウンジが良く似合っている渋さと爽やかさを合わせ持っているような男の人だった。
一瞬、そのオーラ―に魅入られてしまったものの、すぐに言われたことを思い出してイラッとする。