失礼男の攻略法
クライアントとの長い、長い打ち合わせを終えて事務所に帰ったのは、もうほとんどの先生方が帰っている時間。
暗い執務室の電気をつけて、デスクに腰をかけると美希ちゃんからの伝言メモが目に入る。
“SMHさんから至急ご相談したいと日程調整入りました。
明朝ご相談させてください”
そのメモを見て何度か事務所の番号から着信があった理由がわかった。
でも、至急ってなんだ?
この前の案件だったら、何の問題もないところに落ち着いていたし、リーガルチェックでいくつか文言修正はいれたものの、変なところはなかったはず。
もしかして、制度整う前に訴訟案件でてきちゃったとか?
あー、それは面倒だなと思いながらも、真相がわからないので今頭を悩ませてもしょうがない。
なんとなく嫌な予感はするけど、それを頭の中から追い払って、今日の打合せで持ち帰った内容の修正に取り掛かる。
あー、呑みたいなー
そんな独り言をつぶやきながら夜が更けていった。