失礼男の攻略法

「どうせ、いい年してこういうの慣れてないんです。バカにしたいなら、すればいいよ」

いじけたように吐き出すと、目じりを下げた失礼男は

「だから、ごめんって。バカにはしてなくって、ただカワイイなって」

言いながら、もう一度頭をポンポンとしてくれた。お兄ちゃん以外の手で、こんなに安心できることが不思議でぼーっとして

「そういうこと言わないでください。免疫ないんで、勘違いしちゃいます」

ついつい本音が漏れてしまう。すると、失礼男はふっと笑って

「俺のこと好きなまっすぐな女の子、ってのも悪くないね」

呟くから、余計顔が赤くなってしまうのはどうしようもなかった。



結局、その日は完全に使い物にならなくなった私は、次の予定を決めて早々に退散。

そして一人広いお風呂に浸かりながら「かわいいな、千秋」ってちょっと低めのあの男の声を思い出して身もだえていた。
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