失礼男の攻略法

「お疲れですか?」

「いや。早速だけど、聞かせてよ」

即座に否定されて、本題に入るように促されてしまった。なにかを誤魔化された気がしたけど、今日の目的はあくまでもビジネスアイデアを聞いてもらうことだ。

簡単にまとめてみた資料を渡すと、じっと資料に目を通してくれている。

「今回ご意見いただきたいと思ったのは2つです。1つは、弁護士同士の口コミ情報があるサイトで、もう1つは子ども向けのサイトです」

考えてきたアイデアを資料をもとに説明をすると

「うーん。あるようで、ないアイデアなんだけどさ、千秋が目指す世界って?誰の不を解消するの?」

鋭いツッコミが入った。

「2つとも共通している私の思いは“司法相談をもっと気軽に”なんです。弁護士に相談するほどでもないって諦めてたり、どうしようもなくなった段階でしか相談してもらえないことが多いので、もっと早期の段階で相談いただくことで円満に解決できたり、その分悩まなくてよかったりするってことをなくしたいんです」

失礼男の反応が気になってちらっと見ると、無表情で頷いている。
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