失礼男の攻略法

本気でビジネスの世界で勝負するなら私には足りないものだらけだ。反省していると

「うん。まぁ、今日はこんなもんでしょ」

クルリと椅子を回転させながら、そういう失礼男。その表情が見えなくて不安に思っていると

「この後、まだ仕事ある?飲んで帰らない?」

嬉しいお誘いをいただいた。幻滅されたわけじゃないんだ、とほっとして

「ご一緒させて下さい」

言うと、イスからジャケットをとって既に帰る準備をしている。その変わり身の早さにびっくりしたけど、大人しく机の上の書類を片付けて私も後を追った。



「おつかれ」

お互いいつものドリンクで乾杯をすると、はしたないと思いながらも一気にグラスの中身を煽ってしまう。

今日の場に挑むのが実は、すごく緊張していたのだ。

私の今の価値が判断される気がしていたから・・・。
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