失礼男の攻略法
そんな無造作な仕草もカッコよくって、そんな場合じゃないって理解していても胸がキュンとなってしまう。
「そんな目で見られると、俺が悪いっていうしかなくなるだろ」
不機嫌そうに言われてしまった。
「今のは完全に八つ当たり。自分では悪いことだって思ってないんだけど、人の好き嫌いが激しいんだよ。寄って来るやついたら、ついつい裏で何考えてんのかってうがった見方しちゃうし。だから千秋みたいなのが、うらやましいって思う反面、ついつい試してみたくなるんだよ」
失礼男の言うことは半分は理解できたけど、半分は全然わからない。
「私みたいなの?試してみる?」
オウム返ししかできずにいると
「おっさんの妄想だよ」
自虐的な笑みを浮かべてる。妄想って言葉がなんだか卑猥な響きに聞こえてしまったことは置いといて、珍しく気弱な失礼男の発言に心配になってしまう。なんだか元気づけたくなって
「私で妄想してくれるなら嬉しいです」
自分でもよくわからないことを口走ってしまうと、ぶはっと飲んでいたお酒を吹き出した失礼男。